数式混じりの文章を書くのには Visual Studio Code に Markown+Math という拡張機能を入れると便利です。それについて紹介します。
【注意】Markdown の中に TeX で数式を書く環境です。LaTeX の入力支援環境ではありません。
目次
特徴
数式を TeX で入力しながら、その結果をリアルタイムで見ることができます。
本家リポジトリより使用イメージを引用します。
バージョン
執筆時点のバージョンは以下の通りです。
- Visual Studio Code 1.25.1
- Markdown+Math 2.2.1
記事中で言及している仕様などは変更される可能性があります。
インストール
Visual Studio Code を公式サイトよりダウンロードしてインストールします。
Visual Studio Code を起動して、拡張機能をインストールします。
- 画面左の拡張機能のアイコンをクリックします。
- テキストボックスに
math
と入力します。 - Markdown+Math の [インストール] をクリックします。似た名前の拡張機能がありますが、プラス記号「+」が付いている方を選びます。
インストールが完了したら [再読み込み] をクリックします。Visual Studio Code の画面の中身が消えますが、しばらくして元の画面に戻れば完了です。
配色テーマ
デフォルトでは黒を基調とした配色となっています。
個人的に数式は背景が白い方が見やすい気がします。変更方法は以下の通りです。
- メニューから「ファイル → 基本設定 → 配色テーマ」を選択します。
- 「Light+ (default light)」をクリックします。
使い方
Markdownファイルを新規作成します。
- メニューから「ファイル → 新規ファイル」を選択します。
- 「ファイル → 名前を付けて保存」でファイルの種類を Markdown にして適当な場所に保存します。
画面右上の「プレビューを横に表示」アイコンをクリックします。
Markdown に加えて数式の機能が使えます。数式は TeX で記述します。
- 行内の数式は
$
~$
で囲みます。(inline モード) - 独立した数式は
$$
~$$
で囲みます。(display モード)
TeX が初めての場合、Wikipedia から適当な式を探してコピーすることをお勧めします。
Markdown の書き方については以下を参照してください。
KaTeX
数式表示には KaTeX を使っています。
ブログなどで広く使われている MathJax とはサポートされている機能が若干異なります。代表的な違いを挙げます。
\begin{align}
~\end{align}
は使えません。サポートされているのは\begin{aligned}
~\end{aligned}
です。- 日本語の文字(漢字や仮名)は
\text{
~\}
で囲む必要があります。
エラー表示は MathJax より親切な気がします。
デリミタの変更
Markdown+Math の説明にはデリミタ(数式に切り替える記号)の変更について記載されています。dollars
, brackets
, gitlab
の3種類から選びます。任意のデリミタを指定することはできませんが、将来のバージョンではサポートする予定があるようです。
Due to markdown-it-texmath's support of different formula delimiters, these are also available and user configurable with mdmath:
dollars
(default)
- inline
$...$
- display
$$...$$
brackets
- inline
\(...\)
- display
\[...\]
gitlab
- inline
$`...`$
- display
```math ... ```
inline は行内の数式、display は独立した数式です。
【注意】執筆時点での Markdown+Math 2.2.1 では brackets
は事実上使い物になりません。\[
~ \]
の内部で改行すると数式として認識されなくなり、長い数式も一行に収めないといけないためです。
【追記:2018.08.01】brackets
を修正してプルリクエストを作成しました。
【追記:2018.08.15】プルリクエストがマージされました。次のリリースでは問題が解決すると思われます。
設定方法
設定方法について説明します。ただし前述のように brackets
は使い勝手に問題があるため、gitlab
方式を必要とするのでなければ、特に設定をせずにデフォルトのままで使うことをお勧めします。
- メニューから「ファイル → 基本設定 → 設定」を選択します。
- 「次のプレビューを試す: 新しい設定エディター」の下線部をクリックします。
【注意】執筆時点での Visual Studio Code 1.25.1 での説明です。将来のバージョンではプレビューではなくなると思われます。 - 拡張機能の項目から mdmath をクリックして、設定項目の
dollars
をbrackets
またはgitlab
に書き換えます。
【注意】入力できるのはdollars
,brackets
,gitlab
の3種類だけです。 - Visual Studio Code をいったん終了して、再度起動すると設定が有効になります。
【注意】再起動するのは Visual Studio Code だけです。パソコン自体を再起動する必要はありません。
HTMLとして保存
右側のプレビューに表示されている内容は HTML ファイルに書き出すことができます。
- メニューから「表示 → コマンドパレット」を選択します。
- テキスト欄の
>
に続いてmath
と入力します。 - 「Markdown: Save Markdown+Math to HTML」をクリックします。
これで Markdown ファイルと同じ場所に、拡張子以外は同じファイル名で HTML ファイルが保存されます。
はてなブログ
はてなブログとはデリミタが異なるため、記事の下書きに使うと手直しが必要になります。現状、私は手動で修正してからブログに上げています。
はてなブログでの数式については以下の記事を参照してください。
Visual Studio Code の拡張機能では Ionide-fsharp もお勧めです。