正弦定理を三角形の面積と関連付けます。
※ 記事執筆者自身による転載です。
目次
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正弦定理
教科書でよく見る形の正弦定理は、円の直径との関係を含んだ形で記述されます。
$2R$
によって円との関係が示されますが、それを取り除いた部分について考えます。
三角形の面積
三角形の面積は 2 辺とその間の角から求まります。
辺 $a$
と辺 $b$
とその間の角 $C$
に注目します。$a$
を底辺とすれば高さは $b\sin C$
となるため、$△ABC$
の面積が求められます。
同様に他の 2 辺とその間の角から面積が求められます。
(3) と (4) より
ab\sin C&=bc\sin A \\ a\sin C&=c\sin A
\therefore \frac{a}{\sin A}=\frac{c}{\sin C} \tag{6}
同様にして (3) と (5) より
\frac{b}{\sin B}=\frac{c}{\sin C} \tag{7}
(6) と (7) より (2) が示されました。
\frac{a}{\sin A}=\frac{b}{\sin B}=\frac{c}{\sin C} \tag{8}
つまり (2) は三角形の任意の 2 辺とその間の角から求めた面積が等しいことから導けます。
\frac{ab\sin C}2=\frac{bc\sin A}2=\frac{ac\sin B}2 \tag*{(3)(4)(5)}
直径との関係
$2R$
との関係が残っています。これを半径 $R$
に着目して導きます。
外接円の中心 $D$
から各頂点 $A,B,C$
への距離は半径 $R$
です。
※ 外接円の中心は外心で、重心とは別の概念です。
$△ADB$
は二等辺三角形のため、辺 $AB$
の中点を $E$
とすると、$△ADE$
は直角三角形となります。
円周角の定理より $∠ADB$
は $∠C$
の 2 倍となるため、$∠ADE$
はその半分で $∠C$
と等しくなります。これより辺の長さの等式が得られます。
R\sin C=\frac c2
\therefore 2R=\frac{c}{\sin C} \tag{8}
(2) と (8) から (1) が示されました。
\frac{a}{\sin A}=\frac{b}{\sin B}=\frac{c}{\sin C}=2R \tag{1}
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参考
外積を使って説明されています。要点は以下の通りです。
\vec a+\vec b &=\vec c \\ \vec a\times\vec c &=\vec a\times(\vec a+\vec b) \\ &=\vec a\times\vec a+\vec a\times\vec b \\ &=\vec a\times\vec b \\ |\vec a\times\vec c|&=|\vec a\times\vec b| \\ ac\sin B&=ab\sin C \\ c\sin B&=b\sin C \\ \therefore\frac b{\sin B}&=\frac c{\sin C}
外積の長さは 2 本のベクトルが張る平行四辺形の面積を表します。その面積の半分が $\vec a,\vec b,\vec c$
によって表される三角形の面積となります。
今回の記事では外積を使わないで三角形の面積に着目しましたが、本質的には同じです。