目次
成分計算
2つの単位純虚四元数の積を計算します。
a,b,c,d,e,f\in\R
a^2+b^2+c^2&=1 \\ d^2+e^2+f^2&=1
&(ai+bj+ck)(di+ej+fk) \\ &=-ad+aek-afj-bdk-be+bfi+cdj-cei-cf \\ &=-(ad+be+cf)+(bf-ce)i+(cd-af)j+(ae-bd)k
積の係数の二乗和を計算して、単位四元数であることを確認します。
別解 1
四元数がノルム多元体(ノルムが乗法的)であることを利用すれば直ちに導かれます。
別解 2
2つの単位純虚四元数の間の角度を $θ$、積の虚部方向の単位純虚四元数を $n$ とおけば、内積と外積の関係から係数は三角関数で表せます。三角関数の基本的な性質よりノルムは 1 となります。
\|(ai+bj+ck)(di+ej+fk)\|^2 &=\|-\underbrace{\cosθ}_{\text{内積}}+\underbrace{n\sinθ}_{外積}\|^2 \\ &=\cos^2θ+\sin^2θ \\ &=1
動機
単位超球面 $S^3$
上の 1 点を視覚的に表現する手段として、四元数の積を利用して単位球面 $S^2$
上の 2 点に分解できないでしょうか。
w,x,y,z,a,b,c,d,e,f\in\R
w^2+x^2+y^2+z^2&=1 \\ a^2+b^2+c^2&=1 \\ d^2+e^2+f^2&=1
w+xi+yj+zk=(ai+bj+ck)(di+ej+fk)
手始めにその逆として、単位球面 $S^2$
上の 2 点を 2 つの純虚四元数で表現して、その積が単位四元数になることを確認しました。
もともとブロッホ球について考えていたのですが、どちらかというと Spin 群や Pin 群に関係するようです。
偶数個だと四元数と同じになりそうですね。
— 七誌 (@7shi) June 11, 2024
Pin群だと奇数個まで含めて「任意にたくさんの鏡映の積に対応する」ということみたいです。https://t.co/AHVIkda9SA pic.twitter.com/mseiFBPxnp
視覚化
特定の単位四元数を得るための 2 つの単位純虚四元数の組み合わせは無数にあります。その様子を視覚化します。
2 つの単位純虚四元数 $\alpha,\beta$
の積の虚部は外積に対応します。
\Im{\alpha\beta}=\alpha\times\beta
一方、単位四元数 $w+xi+yj+zk$
から実部を落として虚部だけを残せば、$x,y,z$
は単位 3 次元球内の 1 点(表面と内部)を指します。これを $\gamma$
とします。
$\gamma$
を法線として原点を含む平面と、単位 3 次元球が交差する円周上に 2 点 $\alpha,\beta$
を取ります。
$\gamma$
を固定します。$\alpha\times\beta=\gamma$
となる $\alpha,\beta$
は無数にあります。$\alpha,\beta$
の角度差だけが問題となるため、$\alpha$
を固定すれば $\beta$
が決まります。
※ ここでは単純に $w$
を落として次元を削減していますが、標準的な方法はホップファイブレーションです。