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読み上げドイツ語入門 (1) 1格・4格

Web Speech API による読み上げを利用した語形変化中心のドイツ語入門です。

シリーズの記事です。

目次

目的

Web Speech API を語学学習に利用する例として作成しました。

将来的には小テストなども実装することを計画しています。

概要

ドイツ語の冠詞・形容詞・名詞の語形変化の大まかな枠組みを説明します。

  • 変化を表としてまとめることを避け、個別に見ます。
  • 主語(1格・主格)と目的語(4格・対格)に絞ります。

英語との関連性に言及します。

  • あまり厳密さには拘らず、細かくは見ません。

似たようなパターンを列挙しているのは、何度も繰り返し聞くうちに英語の知識をスライドさせて慣れることを狙っています。

参考としてフランス語訳も表示できるようにしました。

  • あくまで参考のため、フランス語の知識は前提とせず、説明にも使いません。

読み上げ

音声の再生は環境に依存します。Edge(推奨)と Chrome はデフォルトでオンラインのエンジンが利用できます。その他の環境では以下を参照してください。

以下の言語名をクリックして再生されることを確認してください。選択肢が出ない言語は再生できません

音声合成の利用方法など技術面に関しては、以下の記事を参照してください。

文法性

名詞とそれに付随する冠詞・形容詞には男性・女性・中性の区別があり、文法性と呼ばれます。

  • 語形などの文法上の決まりから、生物・無生物に関係なくすべての単語が3つのうちどれかに分類されます。
  • 生物学的な性(自然性)で男性・女性に分類される傾向はありますが、必ずしも一致するとは限りません。
  • 自然性以外の特定の概念が性に結び付くようなイメージがあるわけではありません。

代名詞

ドイツ語との対応を示すため、英語では古風な thou/thee, ye/you を例に用います。

  • thou/thee は2人称単数の代名詞の主格・目的格、ye/you は2人称複数の代名詞の主格・目的格です。
  • thou が主語の場合、動詞には二単現語尾 -st が現れ、ドイツ語と共通します。
    • 英 lovest, 独 liebst

ドイツ語の sie は単数と複数の両方で使われますが、主語では動詞の変化形で区別できます。

  • 敬称の Sie もありますが省略します。

英語とドイツ語で似ているものがあります。

  • 独 ich, mich, dich, euch は 英 I, me, thee, you に -ch を付けたような形をしています。
    • 英語では eu を「ユー」と読むことを参照。(ドイツ語では「オイ」)
  • 独 wir, ihr は 英 we, ye に -r を付けたような形をしています。
  • 独 uns は n を取れば英 us です。
  • 英語の th はドイツ語の d に対応します。
    • thou, 独 du
    • they と sie は由来が異なるため対応しません。
  • 英語の v はドイツ語の b に対応します。
    • 英 love, 独 liebe
    • ドイツ語では w を /v/ で読むため、発音自体は存在しています。

目的語だけに注目するため、主語のない命令文で例を示します。

冠詞・名詞

名詞の性や数はそれに付随する冠詞の語形を変化させます。

男性名詞は単語ごとに強変化・弱変化のどちらかに分類されます。

  • 強変化の方が変化が大きい(強い)という意味合いです。
  • 女性名詞や中性名詞では実用上区別しなくても構いません。

ドイツ語では名詞は常に語頭を大文字で表記します。

  • 英語では固有名詞だけですが、ドイツ語では名詞全般です。

主語と目的語の語形を対比するため、主語と目的語を同じ語にした例文を示します。

  • 文章の意味はあまり気にせず、語形に注目してください。

不定冠詞・男性名詞

男性名詞に付随する不定冠詞は ein です。

不定冠詞と一部の名詞は目的語になると -(e)n の語尾が付きます。(赤字

大まかに、目的語になっても変化しなければ強変化、変化すれば弱変化と分類されます。

  • 強変化か弱変化かは単語ごとに決まっています。
  • 強変化というのは変化が強い(大きい)という意味です。
  • 目的語では弱変化の方が変化しているので逆に感じますが、強変化は複数形が不規則です。(後述)

独 Junge は英 young と語源的な関係があります。

不定冠詞・中性名詞

中性名詞に付随する不定冠詞は ein です。

中性名詞とそれに付随する冠詞は目的語になっても変化しません。

独 Mädchen は英 maiden/maid と語源的な関係があります。

  • 語尾 -chen の単語は意味に関わらず中性名詞となります。
  • 語尾 -chen は指小辞と呼ばれ、日本語の「~ちゃん」に相当します。

不定冠詞・女性名詞

女性名詞に付随する不定冠詞は eine です。

女性名詞とそれに付随する冠詞は、目的語になっても変化しません。

複数形

英語と同様に不定冠詞の複数形はありません。

名詞の複数形の語尾は -er, -en など何種類かあります。

  • Mädchen のように単複同形の語もあります。

強変化では語幹の母音にウムラウト(¨)が付くことがあります。

  • 単 Mann, 複 Männer
  • 英語の man, men はウムラウトの名残です。

複数形は目的語になっても変化しません。

定冠詞

単数

定冠詞は名詞の性に応じて男 der, 中 das, 女 die です。

男性名詞に付随する定冠詞は目的語になると変化します。(赤字

複数

定冠詞の複数形は性に関わらず die で、目的語になっても変化しません。

Mädchen は単複同形のため冠詞で数を区別します。(単 das, 複 die)

形容詞

形容詞が補語となる場合、語尾は変化しません。

形容詞は名詞を修飾する場合、冠詞の種類や有無によって強変化・弱変化・混合変化という3種類の形態があります。

  • 形容詞の強変化では定冠詞と似た語尾を持ち、弱変化は -e か -en です。
  • 混合変化は強変化と弱変化の混合です。

男性名詞の強変化・弱変化は単語ごとに決まっていますが、形容詞は同じ単語でも状況に応じて使い分けます。

  • 強変化・弱変化という用語は同じですが、名詞と形容詞では別の枠組みです。

不定冠詞+形容詞(混合変化)

主語と目的語では、不定冠詞の後の形容詞は定冠詞と似た語尾を持ちます。

  • gut → 男 der/guter, den/guten; 女 die/gute; 中 das/gutes

他の格では必ずしも定冠詞とは一致しないため、混合変化と呼ばれます。

形容詞(強変化)+複数形

冠詞を伴わない形容詞は定冠詞と似た語尾を持ち、強変化となります。

  • gut → 複 die/gute

複数形では目的語になっても変化しません。

定冠詞+形容詞(弱変化)

定冠詞と語尾が重複するのを避けるため、形容詞の変化が弱まっていると考えます。

  • 誤 der guter (対比 ein guter)
  • 正 der gute

ただし男性名詞単数の目的語に付随する場合は定冠詞と語尾が一致します。

  • den guten Mann

単数

弱変化の単数形は gute で、男性形の目的語になると変化します。(赤字

複数

弱変化の複数形は guten で、目的語になっても変化しません。

まとめ

全体を通して聞くのにご利用ください。